ショーロホフ『静かなドン』

 

ショーロホフ『静かなドン』の一節(II、121-122頁)

オリガ・ニコラエーヴナは、その頭のよさにもかかわらず、こういう告白のあとでもふたりは親しい友だちになれると、そう本気に信じていた。リストニーツキーは表面では、かの女のこの確信を支持していたが、心のうちでは、かの女にほとんど憎しみの情を感じていた。そして数日ののち、オリガの性格と容貌の中に、弱点をとらえようとして躍起になっている自分を見いだしたとき、かれがほんとうに、真剣な感情のさかい目に立っているのを知った。

オリガの性格と容貌の中に、弱点をとらえようとして躍起になっている自分を見いだしたとき、かれがほんとうに、真剣な感情のさかい目に立っているのを知った。